ほまれ塾助っ人ライターのAです。
今日は経済理論のコツをテーマにしてみようと思います。パールを例に説明します。
◆パールはどこへ行く?
太古の昔、ある国ではパールとダイアモンドが同じ価値を持っていました。
パール1gはダイアモンド1gと交換でき、人々はパールやダイアモンドを食べ物と交換したり、アクセサリーの材料にしたりしていました。
ある日、この国に住むアルという少年が、船で1時間ぐらいのところにあるパールの島へ行きました。
パールの島の人々は、パールもダイアモンドも本土の人々と同じように使っていました。
しかし、島ではパールがざくざくと大量にとれるので、パールが珍しくなく、パール1gはダイアモンド0.5gの価値しかありませんでした。
砂浜でパールを拾ったアルは良いことを思いつきました。
さて、この後どうなるでしょうか?
アルは、パールの島でパールを1g拾い、船で本土に戻ってダイアモンド1gと交換しました。
その後、また島へ行ってダイアモンド1gをパールと交換しました。
この時、島での交換比率「パール1g=ダイアモンド0.5g」にしたがって、ダイアモンド1gはパール2gと交換できました。
このパール2gを本土でダイアモンド2gと交換し、島へ行ってパール4gと交換し、本土でダイアモンド4gと交換し、島でパール8gと交換し…
このサイクルを繰り返すことで、最初は1gだったパールがどんどん増えていきました。パールを採集したり育てたりしているわけでもないのに、ただ交換するだけで増えていくのです。
最終的には、パールの島のパールは一粒残らず本土へ渡っていきました。
パールは、パールの価値が相対的に高く設定されている場所へ向かっていたのです。
同時に、ダイアモンドは本土から島へ移動しました。島の方がダイアモンドの価値が高いからです。
そしてアルは、「交換比率の差」という魔物の手に操られるかのように船をこぎ続けたのです。
パールもダイアモンドもアルの船も、「交換比率の差」という原理が動かしていたわけです。(余談ですが、アルはアルセウスのアルです)
◆江戸時代の金貨流出
このパールの話は、理論を説明するために創作した小話ですが、実際に歴史上これと同じ現象が発生したことがあります。
江戸時代に、金と銀の交換比率が日本と海外で違っていた時期がありました。日本では銀の価値が高めに設定されていたので、多くの人が銀を持って日本を訪れ、金と交換して帰っていきました。日本に銀が入ってくる代わりに、大量の金の小判が海外へ流出しました。
◆現代の円高・ドル安
円高・ドル安をめぐる動きも、実はその本質は同じと言えます。円は、円が相対的に高い場所へ行き、ドルもドルが高い場所へ行くのです。これがイメージできると問題が簡単に解けます。
経済理論は、苦手だと思っていたのにコツがわかると一気に得点源になることがよくあります。つまずく前に講師にコツを教えてもらいましょう。
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