ほまれ塾助っ人ライターのAです。
最近のニュースでは、佐渡金山や資本主義など経済の話をよく聞きます。
経済の話って何だか難しい…とっつきにくい…テストに出ないでほしい…そう思う生徒様は少なくありません。今日は、経済理論を簡単に理解する方法を考えます。
◆佐渡金山
政治問題の側面が取り上げられていますが、佐渡金山が世界遺産に登録されようとしている理由は、江戸時代から続く経済の歴史にあります。
1600年代前半、新潟県の佐渡島という島に金を産出する山がいくつかあり、年間何百キログラムもの金が産出されました。
これらの山は江戸幕府(現代なら政府に相当する機関)の所有物でした。佐渡金山は江戸幕府の財政基盤でした。
また、江戸幕府は、佐渡金山の金から、人々が買い物に使う金の小判を作っていました。現代で言えば日本銀行が貨幣を発行するようなものです。
◆秘策「銀で薄める作戦」
1600年代の終わり頃には、佐渡金山の金は枯渇しかけていました。
江戸幕府は財政難に陥りましたが、勘定奉行(現代なら財務省の大臣に相当)が名案を思い付きました。
「金の小判の金含有率を下げよう。そうすれば、同じ量の金で多くの小判を作れるぞ。」
当時使われていた金の小判は、100%純金ではなく、15gの金に銀を少し混ぜて作られていました。
勘定奉行は、同じ大きさで銀の割合を少し多めにして金を10gにした小判を作り、金15gの小判と交換したのです。そして金15gの小判を溶かして新たに金10gの小判を作りました。こうすると、同じ量の金で1.5倍の枚数の小判を作れます。
この「銀で薄める作戦」は大成功でした。
江戸幕府の資産は増え、市場にも多くの小判が出回り経済が活発になりました。
「人々が使う小判の枚数を増やす」ということは、「市場に流通する貨幣供給量を増やす」ことを意味します。まさに金融緩和政策そのものです。
社会の問題やニュースで出てくる「市場に流通する」「貨幣供給量」「金融緩和」などの経済用語は分かりにくい場合がありますし、現代は貨幣が電子データ化されたり国内外を行き来したりして余計に実体を把握しにくくなっています。
しかし、江戸時代の枠組で考えてみたらどうでしょう。
佐渡金山で金が産出される→金の小判が作られる→1枚当たりの金の量を少なくして小判の枚数を増やす→日本列島に出回る小判の枚数が増える→人々は物の売り買いを頻繁にする→つまり経済活動が活発になる
この方がイメージしやすいかもしれません。そして「金融緩和政策を実施すると、市場に流通する貨幣供給量が増加するため、経済活動が活発になる。」という話の流れが自然に理解できるようになります。
「インフレ」「デフレ」「物価」「金利」「為替」などもそうですが、むずかしく考えずに分かりやすい例で理解するのは経済理論のコツの一つです。
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