ほまれ塾助っ人ライターのAです。
暖かい春の気配が感じられる日が増えてきましたね。
3回連続で経済理論の話が続いたので、今日はがらっと変わって古典文学のコツを考えてみます。
「春はあけぼの」で有名な「枕草子」を題材にします。
◆春はあけぼの(がいいね)
「枕草子」はこんな書き出しで始まります。
「春はあけぼの。やうやう白くなりゆく山際、少し明かりて、紫だちたる雲の細くたなびきたる。」
現代語訳はこんな感じです。
「春はあけぼの(がいいね)。だんだん白んでいく山際が少し明るくなって、紫がかっている雲が細くたなびいている(のがいいね)。」
単語は下記を参考にしてください。
あけぼの:夜が「ほのぼの」と「あけ」始める時間帯。
やうやう:だんだん。「ようやく」のようなニュアンス。
山際:空のうち、「山」に接している部分。「際」は「瀬戸際(せとぎわ)」の「きわ」。
大事なのは、単語よりも「省略」です。
「春はあけぼの」とは、「春はあけぼのがいいね。あけぼのこそが、春の良さが感じられる瞬間だね。」という主張です。
「春はあけぼの」に続く文は、「特に、たとえば、具体例を挙げるなら、だんだん白んでいく山際が少し明るくなって紫がかっている雲が細くたなびいている様子がいいよね。」という主張です。
つまり、「~がいいね」の部分が省略されているのです。
この省略を補って初めて意味を取れます。
機械的に「AはB。A=B。春=あけぼの…?」と考えていても話は見えてきません。
◆古典文学のコツ
古典文学の文章は、さっぱり意味が分からない場合が少なくありませんが、意味が分からない理由の一つが「省略」です。
古文は省略が多いですし、しかも、文が意味を形成する上で重要な部分に限って省略される傾向があります。
主語が省略されているために誰の発言か分からなかったり、「何々がどうである」の「どうである」の部分が述べられていなかったり、といった具合です。
しかし、古文の特徴をあらかじめ知っていれば対策も可能となります。
省略されやすい部分を知った上で補って読む練習をしましょう。
また、現代日本語の文章をたくさん読んで、基本的な読解力を高めておきましょう。
そうすれば、「春はあけぼの」の後に省略された「がいいね」が見えてきます。
清少納言が感じ取った春の風情が文章から読み取れるようになるでしょう。
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